コダックはその創世記から「カメラをポケットに入れること」にこだわりがあり、新しいフィルム規格とカメラをセットで提案してきた。まずはそんなコダックの歴史を振り返ってみる。
・ポケットコダック
1896年から展開。多くのシリーズがありフィルム規格も5種類あるらしい。実際に服のポケットに入る大きさになるのは下記のベストポケットコダックからになる。
・ベストポケットコダック/127フィルム
・ベストポケットコダック/127フィルム
1912年発売、洋服のベストのポケットに入る折り畳みカメラ。簡易型の単玉レンズは絶妙に滲む描写で印象的。伝説になった。(→作例)
1972年発売、折り畳みはなくフィルムの上下を狭くして薄いボディを可能にした。種類が多く分かりにくいが、5や6で始まる機種が上級機であるようだ。
今回のテーマは1980年に発表された上級機 Kodak Tele-Ektralite 600である。
・ディスクカメラ/ディスクフィルム
Kodak Tele-Ektralite 600 は1980年の発売。コダックの110フィルム戦略後半のカメラである。上級機といっても、露出もフォーカスも簡略化されている。110フィルムは安くて簡略されたシステム、というイメージが定着したため、高機能のニーズは少ないのだろう。
このTele-Ektralite 600の特徴は、当時最新技術の自動フラッシュライトと、レンズが2焦点であること。特にレンズは標準22mmと望遠44mmを付け替える構造を持っている。
上の写真で見えているレンズは44mm。これは外された状態で、直接シャッターが見えている。そのシャッターの向こう側に22mmレンズがセットされている。
レンズは2本ともf8と暗く、被写界深度の深さを活かして標準22mmが固定フォーカス、望遠44mmがゾーンフォーカスとなっている。レンズ構成はガラスレンズの3群3枚のトリプレット、REOMAR銘がついている。このREOMARはドイツの名門レンズメーカー、シュナイダーのブランドというところも興味を引いた。
コダックのポケットカメラはニーズもあまりないようで、オークションではきわめて低価格で落札できた。
ボディは上下サンドイッチ構造で、表面に見えているネジを外すと残りのパーツはすべて嵌め込み構造で内部にネジはない。ネジを隠そうとしないで、組み立て合理化を選ぶところがアメリカ製品らしい。
2本のレンズを交換できる構造は、興味深い。レンズシャッターユニットを中心に前側に望遠レンズユニット、後ろ側に標準レンズユニットが出し入れできるようになっている。
望遠44mmレンズはレンズシャッターがレンズ構成の後ろにくるため後玉が小さく、標準22mmレンズは前側シャッターなので前玉が小さくなる構造だ。
レンズは小さな豆レンズ。大豆よりは大きいが花豆より小さい。
これを改造してデジカメに付けるのだが、22mmレンズのバックフォーカスは20mm前後なのでミラーレスでもギリであり、できることは少ない。結局、オリジナルのヘリコイドをつけてCマウントにすることにした。
3Dプリントで回転ヘリコイドを作ってCマウント化した。絞りはf8開放(これ以上絞る必要はない)22mmと44mmで2本、大きさはこのくらいの差である。
レンズはどちらともトリプレット構成で、組み合わせてユニットになっている。トリプレットはレンズの位置調整が繊細なので、ユニットは分解したくない。開けてないので、上の構成図もいい加減な想像図になる。
これをカメラに付けてみる。110フィルムはマイクロフォーサーズとサイズが同じだが、まずは一回り画像サイズが大きなAPSデジタルにつけてみよう。
APSサイズは110フィルムよりも大きく、よく見ると4隅の画像は乱れている。さらに22mmは蹴られて暗くなっている。隅以外の写りは良いので、110フィルムと同じサイズのマイクロフォーサーズで撮影しよう。
実際の撮影ではピンボケが多かった。そこそこそろっているように見えて、デジタルで拡大するとピンボケが気になってしまう。
今回のテーマは1980年に発表された上級機 Kodak Tele-Ektralite 600である。
・ディスクカメラ/ディスクフィルム
1982年発売。コダックは110フィルムポケットカメラの展開をやめ、新しくディスクシステムに切り替えた。フィルムをディスク状にすることで巻き上げ機構を簡略化。画像サイズを小さくしてレンズの奥行きを減らし、前後に薄いカメラとなった。(改造例)
しかし画質の劣化などコンパクト化によって失ったものも大きく、ディスクフィルムシステムは数年で消滅した。
その後コダックはAPSフィルムシステムを提案するが、時代はデジタルに移行、フィルムと共にコダックは写真の主流から消えることになる。
Kodak Tele-Ektralite 600 は1980年の発売。コダックの110フィルム戦略後半のカメラである。上級機といっても、露出もフォーカスも簡略化されている。110フィルムは安くて簡略されたシステム、というイメージが定着したため、高機能のニーズは少ないのだろう。
このTele-Ektralite 600の特徴は、当時最新技術の自動フラッシュライトと、レンズが2焦点であること。特にレンズは標準22mmと望遠44mmを付け替える構造を持っている。
上の写真で見えているレンズは44mm。これは外された状態で、直接シャッターが見えている。そのシャッターの向こう側に22mmレンズがセットされている。
レンズは2本ともf8と暗く、被写界深度の深さを活かして標準22mmが固定フォーカス、望遠44mmがゾーンフォーカスとなっている。レンズ構成はガラスレンズの3群3枚のトリプレット、REOMAR銘がついている。このREOMARはドイツの名門レンズメーカー、シュナイダーのブランドというところも興味を引いた。
コダックのポケットカメラはニーズもあまりないようで、オークションではきわめて低価格で落札できた。
ボディは上下サンドイッチ構造で、表面に見えているネジを外すと残りのパーツはすべて嵌め込み構造で内部にネジはない。ネジを隠そうとしないで、組み立て合理化を選ぶところがアメリカ製品らしい。
2本のレンズを交換できる構造は、興味深い。レンズシャッターユニットを中心に前側に望遠レンズユニット、後ろ側に標準レンズユニットが出し入れできるようになっている。
望遠44mmレンズはレンズシャッターがレンズ構成の後ろにくるため後玉が小さく、標準22mmレンズは前側シャッターなので前玉が小さくなる構造だ。
レンズは小さな豆レンズ。大豆よりは大きいが花豆より小さい。
これを改造してデジカメに付けるのだが、22mmレンズのバックフォーカスは20mm前後なのでミラーレスでもギリであり、できることは少ない。結局、オリジナルのヘリコイドをつけてCマウントにすることにした。
3Dプリントで回転ヘリコイドを作ってCマウント化した。絞りはf8開放(これ以上絞る必要はない)22mmと44mmで2本、大きさはこのくらいの差である。
レンズはどちらともトリプレット構成で、組み合わせてユニットになっている。トリプレットはレンズの位置調整が繊細なので、ユニットは分解したくない。開けてないので、上の構成図もいい加減な想像図になる。
これをカメラに付けてみる。110フィルムはマイクロフォーサーズとサイズが同じだが、まずは一回り画像サイズが大きなAPSデジタルにつけてみよう。
APSサイズは110フィルムよりも大きく、よく見ると4隅の画像は乱れている。さらに22mmは蹴られて暗くなっている。隅以外の写りは良いので、110フィルムと同じサイズのマイクロフォーサーズで撮影しよう。
もとのカメラは標準22mmがパンフォーカスで、望遠44mmがゾーンフォーカス。レンズのフォーカスは広い範囲で合うことが求められている。
そんなレンズをデジタル用に改造してみると、フォーカスが合わせにくい。f8と暗いのもあるが、特に被写界深度が深くなるようにチューニングもしているのだろう。そのためマニュアルフォーカスで頼りになるピーキング表示も出にくく、拡大してもフォーカス位置がはっきりしない。
写りは立体感もあって悪くないが、画面全体に解像はしているけどゆるい描写だ。たぶん被写界深度の深いチューニングの影響だと思う。もともとのカメラのコンセプトも、気軽に楽しむポケットカメラだ。緩い描写を楽しむくらいがよいのだろう。
このレンズ、カメラの目的に合わせたチューニングがされているのはさすが名門シュナイダーという感じがします。ですが、悪くないけどレンズ改造には使いにくい。固定/ゾーンフォーカス用に特化したレンズは、フォーカスにメリハリがなく合わせにくい。あたりまえのような結果になりました。
0 件のコメント:
コメントを投稿