「トリプレット・ペトリ」は粋なレンズ?PETRI 135mm f3.8 : Is "The Triplet Petri" a cool lens?

トリプレット構成の中望遠レンズには粋を感じる。


トリプレットレンズは、3群3枚というミニマムなレンズ構成であり、中望遠のような比較的狭い画角ならば描写は極めてよい。欠点はテレフォトでないのでレンズ鏡胴が細長くなること、明るいレンズは収差補正的にむずかしいこと。

その欠点をあきらめて、ミニマムさを選ぶところに粋を感じるのだ。

ライカのトリプレットエルマー(90mm f4)、ニコンのマウンテンニッコール(105mm f4)、これら「あだ名」の付いたレンズは、トリプレットのミニマムさとハイレベルな描写力をそなえた名レンズとして人気がある。発売当時は「明るさ」スペックに魅力がなく、あまり売れなかったようで現在の中古価格は高い。

そこで1967年製のPETRI 135mm f3.8である。前記した2本レンズは60年代前半なので、すこし新しい世代のレンズだ。この時代のペトリは価格の安さで勝負していて、135mmも低価格を実現するためにミニマムなトリプレット構成となった。(https://w.atwiki.jp/petri/pages/161.html)

前記の2本がf4の明るさなのに対して、f3.8と少し明るくできたのは世代が新しいおかげだろうか。

このレンズは売れたようで、極めて安く手に入る。135mmと焦点距離が長いため鏡胴が細長くなってしまっているのが残念だが、ペトリのレンズはよく写る評判だ。

レンズフードがついていることもあるが、長い、、、やはり全長を短くするテレフォト構成でないことは135mmには厳しいかもしれない。もう一つ長いのが最短撮影距離2.5m。これは自作ヘリコイドアダプターで解決した。(前回の作例では寄れなくて苦労した

長いレンズを付けて街を散歩するのは恥ずかしい気もするが、まあスナップに出かけよう。

ペトリといえば気になるのはボケである。55mm45mmの魅力的なボケはこの135mmではどうなのだろうか。



ペトリのボケの特徴は 2線ボケでありながらフレアで美しくなっているところで、ボケても立体感が残る。質量感があって不思議な迫力があるのが特徴だとおもう。
それでこの135mmだが、最短撮影距離が2.5mもあってあまりぼかすことができなかったが、今回ヘリコイドアダプターを用意したことで近距離でぼかせるようになった。

この135mmも、距離によってペトリっぽいボケを感じることができる。寄りすぎたり背景が離れると感じなくなるが(クセのないボケになる)、適度な距離では妖しい世界を感じることができる。





描写はヌケよくシャープ。最短撮影距離より寄っても破綻しない。階調も味わい深く、粋な写真が撮れそうな気もする。




さて、このレンズ3枚のペトリ135mm、階調もよくヌケもよい。ボケもいい感じでよく写る良いレンズだ。

それで、はたして「粋」なのか。
ミニマムな構成からくるヌケの良い写りは粋な感じがする。だけど、粋というのは、諦めの美学という面もあって(九鬼周造:「いき」の構造 https://www.aozora.gr.jp/cards/000065/files/393_1765.html)強い主張は野暮に通じる。そういう視点ではこのレンズ、長すぎるのだ。もう少し控えめの外観ならば「粋」だったのに惜しかった。私にとって、135mmというのは、スナップに使うのには長すぎたようだ。













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