Petri 1:3.8 f=135mm トリプレットの望遠レンズ


たった3枚のレンズで構成されるトリプレットは、抜けが良くて中心部はシャープに写るが、周辺になるにしたがってあやしくなっていく。中心部だけ使えば問題ないことから、望遠レンズには昔から使われてきた。マウンテンニッコールとか使ってみたい有名なレンズはあるが、そういう伝説化したレンズは中古価格が当時の新品価格よりも高くなっていて、なかなか手はでない。
 今回のペトリ135㎜ f3.8はそういう伝説とは全く無縁の、「歌われないレンズ」である。私と同い年の1967年製初期型だと思う。外側はとてもきれいで、ほとんど使われなかったかもしれない。だけど残念ながらレンズはカビだらけ。3枚玉だから分解して掃除すればいいと思ってジャンクを安く手に入れた。
モノをよく見ると一番後ろになぜかフィルターが内蔵されていて、その内側がはげしくカビている。ここを分解して掃除が必要だ。

一番前のレンズは簡単に外れたけど、そこから先が分解できない。レンズ化粧銘板を外そうとして、アルコール、556、半田ごてまで使ったけどびくともしない。結局ここは化粧板ではなくフォーカスリングと一体だったようだ。鏡胴前部にある剣先ネジ3本を外すと、何かがずぼっと抜けそうなのだけれど、固着しているようでこれもびくともしない。
 で、どうしたか。恥ずかしくて言えない方法でむりやりレンズ清掃はしました。レンズはきれいになったけど外装は傷だらけ。しかも正式の分解方法はわからず。最後はお酒の勢いで保護フィルターをたたき割ったなんて、とても書けません。

ともあれレンズはきれいになって、受光面を反射して悪さしそうな後部フィルターもなくなったので撮影してみましょう。
もう一つ、マウントアダプターがありました。Petriマウントのアダプターはないので製作します。バックフォーカスを調べて、ベースにしたのはKONICA AR→Sony Eのマウントアダプター。

マウント面の出っ張りを削り落として、カメラからはぎ取ったペトリマウントをねじ止めします。これでほぼ、バックフォーカスは合います。


テレフォト構成ではないので細長い。あまり見ないバランスになりました。

絞りは開放。写りはとてもいい。でもあまりボケないので、望遠レンズっぽくない。
シャープなのだけど、ピントのピークが分かりにくくて被写界深度が深い感じがする。ブランコの手前のフレームにフォーカスしているのだけれど、上の方は真ん中にあっている。像面湾曲といいたいが、手作りマウントアダプタの精度の問題かもしれない。縮小するとフォーカスは両方にあっているように見える。トリプレットは見かけの被写界深度が深くなるのかもしれない。





開放ならば寄ればボケる。よく見ると周辺のボケはあやしいが、全体としてボケは素直な感じだ。あまり2線ボケの感じもしない。写りは立体感があってすばらしい。トリプレットの良さが出ている気がする。
最短撮影距離は2mくらいで寄れないのは困るけど、寄ると周辺はきびしい。


中距離くらいで被写体を中央に置くといい感じに写る。やはりトリプレット、日の丸構図が基本だ。
さて、レンズは他人に渡せない傷物にしてしまったので、もう少しつかって、トリプレットの研究をしてみましょう。

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